「愛は謝罪も見返りも求めない」――明少卿(めい・しょうけい)は、沈斯如(しん・しじょ)の幸せを願い、彼女に愛を説いた。静かに語り終えた少卿は、自分を死の淵から救い尽くしてくれた雲姜(うん・きょう)に残りの命を懸けて報いたいと言い残し、去ってゆくのだった。しばらくして、雲霧山では沐 […]
念願かなって林初一(りん・しょいつ)の側室となった楊喜氷(よう・きひょう)だったが、皮肉なことに彼女の目論みは外れどおしだった。その扱いは正室と差がつけられ、初夜だというのに初一は寝所を訪れてもくれず、侍女たちにも気の毒がられる始末。「私をバカにする奴は思い知らせてやるんだから」 […]
寝台の下に押し込められていた岑野瞳(しん・やとう)が意識を取り戻してみると、目の前には血に濡れた花解語(か・かいご)が倒れていた。彼女は野瞳の身を守るため、自らの体に短刀を突き立てたのだ。声を上げそうになる野瞳を、目顔で押し留める解語。やがて、袁離若(えん・りじゃく)と追っ手たち […]
林初一(りん・しょいつ)と天地盟を、直ちにせん滅せよと訴える袁天?(えん・てんこう)。しかし、沐晟(ぼく・せい)はその言葉に耳を貸さず、林初一を寨外へと追い払うことを決めた。自らの引き際を悟った袁天?は、最後の忠告だと前置きして、「林初一の監視役として、"軍神" […]
君綺羅(くん・きら)は自ら作った刀を携えて、雲霧山の城門の前に立っていた。いつかの約束どおり、それを沐晟(ぼく・せい)へ手渡すためだ。しかし、衛兵に阻まれ、中に入ることができない。彼女は仕方なく刀を兵に預けると、「十里坡でずっと待っている」と言付けするように頼んで、その場を離れる […]
陳大牛(ちん・だいぎゅう)が「夜伽の相手に」と連れてきた女は、沈斯如(しん・しじょ)であった。彼女は語気を荒げて「解放しないと後悔するわよ」「今の私には沐晟(ぼく・せい)がついてるわ」と、林初一(りん・しょいつ)に食ってかかる。そうこうするうちに、沐家寨の兵が雲霧山まで11里とい […]
陳大牛(ちん・だいぎゅう)が「夜伽の相手に」と連れてきた女は、沈斯如(しん・しじょ)であった。彼女は語気を荒げて「解放しないと後悔するわよ」「今の私には沐晟(ぼく・せい)がついてるわ」と、林初一(りん・しょいつ)に食ってかかる。そうこうするうちに、沐家寨の兵が雲霧山まで10里とい […]
岑野瞳(しん・やとう)との別れを惜しむ、君綺羅(くん・きら)。彼女には、武芸に秀で、兵法に通じた野瞳が、この戦乱の世で名を上げようという野心を抱いていないことを惜しむ気持ちもあった。そこで綺羅は、気が変わったら沐晟(ぼく・せい)を訪ねるといいと告げ、紹介状を手渡すと、楊喜氷(よう […]
沐晟(ぼく・せい)を想い、涙を流す君綺羅(くん・きら)。その姿を見た林初一(りん・しょいつ)の心もまた千々に乱れていたが、「俺なら君を、絶対に泣かせやしないのに」という言葉を口にすることはできなかった。やがて、綺羅と初一は済世山荘へ。喜んで娘を迎えた君無忌(くん・むき)だったが、 […]
沈斯如(しん・しじょ)への意趣返しとばかりに、冷淡な別れの手紙を残して姿を消した明少卿(めい・しょうけい)。しかし、彼女への想いを断ち切ることなどできはしなかった。少卿は再び、斯如のもとへと舞い戻る。斯如が梅家塢へ輿入れすることを中止させようと語る彼に、彼女はある策を授けるのだっ […]
ケガを負ってまで自分を助けてくれた林初一(りん・しょいつ)にお礼の言葉を述べる君綺羅(くん・きら)。彼女を売り飛ばそうとした張本人は林初一だったのだが、それを聞いても綺羅は「あなたは私の恩人よ」と微笑むばかりだ。やがて、宿がないという綺羅にせがまれ、初一は隠れ家に彼女を連れ帰るこ […]