木隆(ぼく・りゅう)は、木旺(ぼく・おう)と木青(ぼく・せい)の位牌の前で跪いた。そして、傍らに立つ木増(ぼく・ぞう)に私を殺せと言い放つ。父と兄の2人を死に至らしめたこと、戦により民を犠牲にする愚を犯しかけたこと、これらの大罪を自分の命をもって償うつもりだった。「わが死を見届け […]
お腹の赤ん坊は無事だった。木増(ぼく・ぞう)の言葉に、阿勒邱(あろくきゅう)はほっと胸をなでおろした。そして、もう1つの心配の種であった阿照(あしょう)も、幸いなことに処刑は免れたという。阿勒邱はすぐさま、部屋の外に控えていた阿照のもとへ。彼女は阿勒邱と赤ん坊の無事を知り、笑顔を […]
文化による繁栄こそが麗江を支える――徐霞客(じょ・かかく)は、木増(ぼく・ぞう)にそう助言した。己の進むべき道を確信した木増は、さっそく秘宝と呼ばれる経典・大蔵経を借りるため、チンワ・タクツェ宮の高僧(?)を紹介してほしいとドルツェ大師に依頼した。大蔵経を板刻し、世に広めようとい […]
掘り尽くされたという金鉱を調査するため、木増(ぼく・ぞう)、阿勒邱(あろくきゅう)、徐霞客(じょ・かかく)の一行が現場を訪れる。その晩、木増殺害の密命を帯びている阿虎(あこ)は、心の中でわびながら彼の部屋へと向かった。人質となっている阿室于(あしつう)を助けるためだと心を決めた瞬 […]
お腹の子を奪うなんてあんまりですと嘆く阿照(あしょう)。堕胎薬を買ったのは阿勒邱(あろくきゅう)で、口止めに黄金を渡されたと証言する呉(ご)医師。阿勒邱は、それらを信じられない思いで見つめていた。妊娠などしていないことも、嘘の見立てをしたことも認め、自首すると約束したはずの2人に […]
永寧で捕らわれの身となった阿勒邱(あろくきゅう)は、自分が生きていることを木増(ぼく・ぞう)に知らせなければと、気が気ではなかった。西和(せいわ)の策略により、阿勒邱は殺されたことになっているのだ。このままでは、木増が自分の後を追って死んでしまう――「お願いだから、ここから出して […]
麗江と永寧の和解には木坤(ぼく・こん)の力が必要だ――木増(ぼく・ぞう)のこの言葉を聞いた阿勒邱(あろくきゅう)は翌日、彼自身に告げることなくとある場所へと向かった。実は昨日、木坤が自分と内密に会って話がしたいと言っていると、彼の部下から伝えられたのだ。木隆(ぼく・りゅう)の説得 […]
木増(ぼく・ぞう)が部屋に戻ってくると、阿照(あしょう)が酒を用意して待っていた。彼女は、言い争いになってしまった阿勒邱(あろくきゅう)と仲直りしたいようだ。阿勒邱は怒っていないからと帰るようにと木増が促しても、もう少し話がしたいと酒を差出してくる。仕方なく杯を受ける木増だったが […]
なぜ自分を逃がすのかと問う木隆(ぼく・りゅう)に、骨肉の争いをやめ、誤解がとけることを望んでいると告げる木増(ぼく・ぞう)。しばし見つめ合ったあと、木隆は無言でその場を去り、大軍とともに永寧へと戻っていくのだった。皆のもとへと戻った木増が母との再会に浸っていると、そこへ図巴(とは […]
土司就任を明日に控えた父・木隆(ぼく・りゅう)のもとを訪れた木坤(ぼく・こん)は、就任式の式場で自ら兵を率いて警備をするため兵符が欲しいと訴え出た。息子の申し出に喜んだ木隆は、その場で兵符を預けることに。しかしあろうことか、木坤はその大事な兵符を阿勒邱(あろくきゅう)に手渡してし […]
木隆(ぼく・りゅう)が用意したのは"黄泉の酒"――飲めば苦しむ間もなく絶命する猛毒の酒だった。それを杯に注ぐと、木隆は木青(ぼく・せい)を見つめ静かに言った。「兄上、覚悟を決めよ」。一方、城東・一番地の小屋で愛しの木増(ぼく・ぞう)と涙の再会を果たした阿勒邱( […]
「木旺(ぼく・おう)は西和(せいわ)の謀略で死んだ」。白鬼営の統領は、虫の息で阿月拉(あげつら)に告げた。全ては内通者である西和が仕組んだことで、木府も白鬼営の誰もが騙されたのだと。疑惑は確信へと変わった――やはり、黒幕は西和だったのだ。必ずや奴の本性を暴いてやると、阿月拉は急い […]
軍に奇妙な動きが見え始めていた。裏切る兵士はまだわずかだが、手を打たねば兵権を奪われてしまう――西和(せいわ)は木隆(ぼく・りゅう)にそう伝えるも、"土司は兄上だ、父上を殺めた証拠がない限り逆らうことはできぬ"と言って動こうとしない。そればかりか、その身に危険 […]
麗江と木府が幾度も危機に見舞われながらも持ちこたえたのは、人知れぬ力に守られてきたからだと、木青(ぼく・せい)は言う。その力とは暗梟衛隊――彼らを指揮する土司とその妻、そして長子だけが存在を知る隠密の組織である。それをなぜ自分に教えるのかと疑問に思う阿勒邱(あろくきゅう)だったが […]
生き残った偵察兵の中に、羅寧(ら・ねい)の手の者がいるという。その密偵と連絡が取れるのはお前だけだと言われた阿勒邱(あろくきゅう)は、彼に会うため図巴(とは)に連れられ約束の場所へと向かった。しばらく待っていると、それらしき人物が。だが、密偵かと思われたその男は2人の前に進み出る […]
木府軍は敵に取り囲まれ、万事休すの状態だった。「白鬼営だ。後悔せぬか?」。木旺(ぼく・おう)の問いに、「木府には勇士のみ」と応じ、剣を構える木増(ぼく・ぞう)。次の瞬間、不意に木旺の拳が振り下ろされた。未来の土司をみすみす死なせるわけにはいかない――彼は気絶した木増を安全な場所へ […]
妾という立場の自分を小ばかにするような態度を取る商人たちに対し、交渉役が私では不満なら義父上と変わるわ、と笑顔を浮かべる阿勒邱(あろくきゅう)。続けて彼女が発した「そうなれば死罪は免れないでしょうね」との言葉に、商人たちは一斉にざわめいた。光源米店の馬(ば)店主は、朝廷に仕える身 […]
阿室于(あしつう)は先祖の位牌を高々と持ち上げると、そのまま地面に叩きつけた。真っ二つになった位牌とそのそばに立つ阿勒邱(あろくきゅう)の姿を侍女の小顔(しょうがん)に目撃させ、"祠堂の前を通りかかったら、阿勒邱が位牌を壊しながら土司に呪いをかけていた"と証言 […]
阿室于(あしつう)とともに羅寧(ら・ねい)に呼び出された阿勒邱(あろくきゅう)。木府と私を騙していないと誓えるかと問われた彼女は、木増(ぼく・ぞう)を愛してるから絶対に傷つけないと答えた。それに対し、阿勒邱を信用できない羅寧は「お前は追い出さねばならぬ」と言いつつも、こう続ける。 […]
謝天(しゃ・てん)の無礼な態度に、今にも掴み掛らん勢いで怒りを露わにする木隆(ぼく・りゅう)。木旺(ぼく・おう)は、謝天にこの場を立ち去るよう促し、出陣前の祭祀は中止となる。怒りが収まらない木隆は「殺す」と息巻いているが、勅使である謝天を手にかければ、木府が罪に問われることは必至 […]