開平からの書状――それは、アリクブカをおびき寄せるためにフビライが仕掛けた罠だった。軍営を焼き払って撤退する素振りを見せるフビライ軍への追撃命令を出すアリクブカ。1262年、フビライとアリクブカの兄弟は、開平の地で再び剣を交えることとなった。その最中、フビライ配下のアリハイヤが、 […]
カラコルムと5人の猛将を取戻し、意気が上がるアリクブカ陣営の中で、ひとりフチだけが慎重に事態を見極めていた。彼の意見を受けて、アリクブカは諸王を味方に引き入れて兵力を増強する策に出る。一方、フビライの陣営では、早期の出陣を主張するチャブイと、時期を伺おうとするフビライの間に不協和 […]
アリクブカがカラコルムを急襲した――姚枢(よう・すう)からの知らせを受け、フビライは大軍を率いて都へと向かう。しかし、悪天候に阻まれ、行軍は遅々として進まない。そしてこの時、都はすでにアリクブカの手に落ちていた。ひと足早く都の近くで合流した姚枢と劉秉忠(りゅう・へいちゅう)は、善 […]
「大ハンはもちろん、李(り)殿をも失望させません」――アリクブカに忠誠を誓った様子で李タン(り・たん)と密談する劉秉忠(りゅう・へいちゅう)。その姿を盗み見たユンリンの驚きと失望は大きかった。李タンが去ったのを見届けた彼女は、劉秉忠の前に姿を現す。ユンリンはあれこれと問い質すが、 […]
「劉(りゅう)殿の協力があれば中原の大部分を手中に収め、大業を成せましょう」。子聡(しそう)こと劉秉忠(りゅう・へいちゅう)は、李タン(り・たん)に協力することを承諾した。この知らせに気をよくしたアリクブカは自ら劉秉忠のもとを訪ねると、配下となってフビライ打倒に力を貸してほしいと […]
開平へと向かったフビライの代理として、カラコルムの統治を任されたチャブイ。彼女は困窮する民と戦死者の遺族を支え、人心の安定を図ろうとする。その一方で、董文用(とう・ぶんよう)・文忠(ぶんちゅう)兄弟に警備の強化を命じ、フビライが戻るまで何としてでも都を守り抜こうと決意を新たにする […]
アリクブカ宛ての密書からボリタ殺害に関する真相を知ったフレグは、フビライに加勢することを決断する。突如フレグの兵が敵に回り、慌てふためくアリクブカ。ハイドゥが連れ戻ると当てにしていたアルチの兵馬も、チャブイに掌握されていた。形勢逆転――挟撃されたアリクブカ軍は壊滅し…。
京兆、陥落。チャブイはかろうじて生き延びたが、両親とイナが犠牲となった上に、いまだ城外へ出ることもかなわずにいた。これを機にフビライよりも優位に立ちたいアリクブカは、ハイドゥに命じて兄・フレグを懐柔することに。そんななか、京兆からの脱出計画を練るチャブイの前に、ハイドゥの部下・ム […]
京兆城を包囲したハイドゥは、民を扇動してチャブイを生け捕らせる作戦に出た。この動きを察知したチャブイは、捕らえていた仇敵・アラムダルを処刑。いち早く皇宮を出て、城外脱出の機会をうかがうのだった。チャブイたちが逃げる隙を作るため、董文用(とう・ぶんよう)・文忠(ぶんちゅう)兄弟は、 […]
チラウンがスハに捕らえられたとの報を聞いたフビライは、すぐさま燕京に向けて出発。大軍の到来に慌てたスハは、牢からチラウンを連れ出すと、城外に陣取ったフビライと対峙した。燕京の明け渡しを求めるフビライに対し、スハは50里後退せよと返す。それが容れられないと分かると、彼はチラウンの身 […]
モンゴル軍と和議を結ぶことを決心した賈似道(か・じどう)。王堅(おう・けん)と宋世廷(そう・せてい)は反対するが、賈似道は独断で使者を送り、領土を譲渡する取り決めを済ませてしまうのだった。難なく鄂州を手に入れたフビライは、モンケの葬儀へと参加することに。しかし、彼は都とは反対方向 […]
死期を悟ったモンケは、深い悔恨のなかにあった。つまらぬ対抗心からフビライの忠告を無視して南征へ出発し、彼に出陣を命じなかったばかりに、多くの兵を失った。過ちを悔いたモンケは、「これ以上フビライと争うな」とアリクブカに告げ、息を引き取る。しかし、それを聞いたアリクブカは、これまで以 […]
東路軍の惨敗により、釣魚城攻略作戦は破綻した。長引く豪雨も、戦況に悪影響を及ぼしている。将軍たちは一時撤退を進言するが、フビライの反対を押し切って出陣した手前、モンケも承知する訳にはいかなかった。起死回生とばかりに、地下に隧道を掘って敵を挟撃する作戦に出たモンケ軍だったが…。
トレゲネとガイミシュが相次いで世を去った。邪魔者が消えたものの、モンケの心は晴れない。祈祷師が残した不吉な予言が気になるが、なにより、間近に迫った南征を成功させられるかどうかに、モンゴルの命運が懸っているのだ。彼はアリクブカに一切の政務を託し、自ら兵を率いて南征に向かうことを決心 […]
兵権を返上したフビライを、モンケは金蓮川へと帰すことを決めた。ガイミシュは「虎を野に放てば災いを招きます」と猛反発するも、大ハンの決意を覆すことはできなかった。フビライが金蓮川に戻ったことで、家臣一同はほっと胸をなで下ろす。しかしガイミシュは、"最大の敵"を排 […]
「この身を捧げたら、フビライ様への憎しみが少しは減る?」――クサアルは我が身を捧げて、フビライとアリクブカの争いを終わらせようとしていた。しかし、その行為がフビライへの愛ゆえのことと見抜いたアリクブカは、彼女を金蓮川王府に送るよう告げるのだった。やがてアリクブカは、金蓮川からの撤 […]
チャブイからの連絡が途絶えたことを不審に思ったフビライは、金蓮川へと急いだ。やがて、関所が朝廷からの命令で封鎖されていたことを知り、フビライの不安はより色濃いものとなっていくのだった。その頃、シレムンは苛烈な拷問にさらされていた。彼は嘘の告発を強いられても、フビライをかばい続け… […]
アラムダル一行は、なんとかフビライが不正を働いていた証拠を探し出そうと悪戦苦闘していた。しかし、必死になって調べてみても疑惑の端緒すらつかむことができない。策を練り直したアラムダルたちは、フビライの腹心である9人の大臣を捕らえることに。大臣たちを拷問で痛めつけ、フビライの罪を告発 […]
フビライがシレムンの命を救ったことの是非を巡って、アリクブカとモゲは口論に。そしてそれは、殴り合いにまで発展してしまう。モンケはこの一件で、モゲがフビライに心酔していることを目の当たりにした。彼は自分の予想以上に、フビライが諸王や将軍たちの人心をつかんでいるのではと、焦りと不安を […]
出陣を前に、モンケが大理討伐の成否を占わせたところ、結果は大吉と出た。「しかし――」と祈祷師は続ける。「この勝利は大ハンにとって、凶事の前触れでもあります」。そして、"美しい大草原に2つの太陽が輝く"という謎めいた言葉を吐くと、祈祷師はまるで力尽きたかのように […]