モンケから賜った新たな領地を訪れたフビライ。彼はその土地――金蓮川の美しさを目にして上機嫌だった。劉秉忠(りゅう・へいちゅう)によると、過ごしやすい上に今後の発展も確実で、政庁を設けるのに最適な地だという。だがその一方で、秉忠はいずれフビライが直面するであろう問題を予言し…。
長年の悪弊を一掃しようとする大ハン・モンケの新政は、民衆の喝采を浴びる。アリクブカの報告によれば、兵たちの士気も高く、入隊を志願する者も後を絶たないという。順風満帆の滑り出しを見せた新大ハンの治世――しかし、フビライの心は晴れなかった。命を落としたとばかり思っていた忘れられぬ人が […]
カシに率いられた反乱軍が、皇宮へ。しかし襲撃の直前、その存在に気づいたフビライは機転を働かせ、反乱軍の出ばなをくじくのだった。両軍の死体が転がる皇宮の中で、倒れ伏した男に取りすがり「大ハン」と呼びかける女性の姿を見つけたフビライ。彼女の顔を覆う薄絹を取り払った時、フビライが口にし […]
チンギス・ハンが残した遺言書は、確かに存在した。それは後継者を指名したものではなかったが、フビライが大ハンの座に就くことを後押ししてくれる内容であった。「期待には背きません」と、天上の祖父と父に語りかけるフビライ。だが次の瞬間、フビライは遺言書に火をつけて灰にしてしまう…。
監国の座に、そしてトレゲネに勝つことに固執するガイミシュは、フビライにある取引を持ちかける。彼女はフビライを大ハンとし、同盟関係を築こうという魂胆だった。母や兄弟たちに一部始終を打ち明けるフビライ。しかし、いくら議論しても妙案が思い浮かばないばかりか、アリクブカはモンケ大ハン擁立 […]
「あなたの仕業ね?」。トレゲネのゲルに乗り込んだガイミシュが言い放つ。連絡が取れなくなっていた息子・ホジャとナグ――そのうち、ナグはフビライによって無事救出された。しかしホジャは、モンケを捕らえ朝廷への反抗の意志を示している。2人は激しい言葉をぶつけ合い、どちらかが倒れるまで戦い […]
監国・ガイミシュの前に山積みとなった難題の数々――それらすべてを解決する能力など、彼女は持ち合わせていない。新しい大ハンを立てるべきだと声を上げる大臣や諸王を追い払うのが、関の山だった。一方トレゲネは、窮地に陥ったガイミシュがフビライの手を借りようとしていることを知り…。
静養を口実に、大ハン・グユクは10万の兵を引き連れて、バトゥの治めるキプチャクへと向かった。ガイミシュから事態を知らされたフビライは戦を回避するため、董文用(とう・ぶんよう)・文忠(ぶんちゅう)兄弟をキプチャクに先回りさせる。そして、自身もグユクの軍営を目指し、馬を走らせるのだが […]
妓楼に通いつめ、夜毎酒と女に溺れるアリクブカ。海雲(かいうん)大師が諌めても聞く耳を持たず、ただフビライへの憎悪をたぎらせるばかりだった。理性を失ったアリクブカは、安陽の税を倍にし、田畑の半分を牧草地に変えろと命じ、周囲を慌てさせる。そればかりか、若い男をすべて兵として徴用せよと […]
カク経(けい)を配下に加えたいフビライは、自ら牢の中へと赴き、説得を続けていた。天下の民のために力を貸してほしいと辛抱強く語りかけるフビライ。やがて、その熱意に折れたカク経は、ひとつの要求をのんでくれれば力を貸そうと申し出たのだった。一方、酒楼ではクサアルがフビライの到着を今や遅 […]
騎馬隊の列の前に飛び出したカク沁(しん)――間一髪のところで彼女を救ったのはシレムンだった。カク沁の兄で高名な儒学者・カク経(けい)は今、牢の中だという。頼る者のいない彼女は、兄を助けてほしいとフビライに直談判するつもりだったのだ。話を聞いていた劉秉忠(りゅう・へいちゅう)…。
チャブイが無事出産したとの知らせを受けて、彼女の両親がケイ州王府へ。2人は孫の誕生を喜ぶが、モンケの妻・イェスタイが、フビライは側室を迎えるべきだと水を差し、チャブイの母と口論になってしまう。そんななかグユクのもとに、キプチャクの領袖であるバトゥから、朝貢をやめるとの通達が…。
「私もグユク王子を大ハンに推挙します」。フビライの言葉に、誰もが息を飲んだ。賛辞や罵声、そして彼の真意を問う声が巻き起こり、騒然とする会議場。しかし、トルイ家の主たるベキまでもがグユクを大ハンに推薦し、衆議は決した。新たなる大ハンの誕生――その陰で、モンケは弟・フビライへの怒りを […]
ガイミシュは監国からの指示だと偽り、フチに堕胎薬を調合させた。しかし、本当の狙いは我が子――グユクとの子だった。意を決して薬を飲もうとした時、グユクが。問い質され、苦しい胸の内をぶちまけるガイミシュ。辛辣な言葉でこれまでの行いを非難されたグユクだったが、意外にも「私が悪かった」と […]
監国である母からも、そして妻・ガイミシュからも諌められ、グユクはやり場のない怒りをくすぶらせていた。なおも「親子で反目しないで」と言い立てるガイミシュ。グユクにできることといえば、そんな妻を罵ることぐらいだった。そんななかトレゲネは、スブタイ将軍のもとを訪ねる。彼女の狙いは…。
無邪気に相撲を取る2人の孫の姿に、目を細めるトレゲネ。しかし、抜け目のない彼女は、どちらが大成するかを見極めていた。勝つことに執着し、知恵を働かせるハイドゥを有望と見たトレゲネは、フチを教育係に任命する。一方、耶律楚材(やりつ・そざい)は、 "秘密の遺言"を守 […]
1241年、トレゲネはあらゆる手を尽くし、政権を奪い取った。オゴデイ家との権力闘争を避けることができ、ベキをはじめトルイ家の兄弟たちは、ひと時の平穏にほっと胸をなでおろす。しかし、監国となったトレゲネは、いずれ我が子・グユクを大ハンの座に就かせるべく、邪魔者であるトルイ家を潰す決 […]
オゴデイ、死す。大ハン崩御の報は、密偵を通じてグユクたちのもとにもたらされた。皇后・トレゲネ討伐のために行軍中であったグユクは、すぐさま帰営を決断。トレゲネの動きを警戒したフビライは、単身カラコルムへと向かうのだった。同じ頃、父を失ったグユクは、母への不満を爆発させ…。
フビライのもとに皇后からの書状が。それを一読するやフビライは顔色を変え、モンケの軍営へと駆けつける。彼がにらんだ通り、モンケは彼らの母・ベキをグユクに嫁がせようとしているトレゲネのやり口に激怒し、挙兵しようとしていた。挙兵すべきか否か――。モンケたち兄弟の意見は真っ二つに分かれ… […]
漢人が多く住む土地に適した政策を推し進めるフビライの方針が功を奏し、ケイ州の統治は順調に進んでいた。しかし皇后・トレゲネは、モンゴルの伝統とは異なるやり方を批判。フビライも一歩も引かずに応じ、2人は激しく火花を散らす。その一方で、皇后は手下たちを操って情報を集め、策を講じていた… […]