「もし留まっていれば、父上は死んでいた」。清涼寺の惨状を目の当たりにした康熙(こうき)帝は、そうつぶやいた。そして、韋小宝(い・しょうほう)にねぎらいの言葉をかけると、還俗を許すと言い渡した。やれ嬉しやと相好を崩す小宝。そこへ突如、謎の人物が。剣の切っ先を康熙帝に向けて突進してく […]
金閣寺を狙う神武将軍砲の砲口――それが今にも火を吹こうという時、目印となっていた松明が消えた。標的の正確な位置を見失った司徒鶴(しと・かく)沐王府の一団は、夜間の作戦決行は諦め、砲撃を明朝に延期することを決めるのだった。同じ頃、金閣寺に建寧(けんねい)公主が。父上様に会いたいと駄 […]
清涼寺は千人を超える西域僧たちに包囲されつつあった。神ならぬ身の韋小宝(い・しょうほう)には知る由もないが、向かいの山の道観には雲南沐王府と王屋派の一団が神武将軍砲を運び込み、砲撃の時を待っている。行痴(ぎょうち)こと順治(じゅんち)帝の命は、まさに風前の灯だった。逃げる以外に手 […]
傷の手当てを終えた阿珂(あか)の様子を見に来た晦明(かいめい)こと韋小宝(い・しょうほう)。傷は浅かったものの、小宝への怒りが冷めやらぬ彼女は、「その変態を殺して」と阿琪(あき)に言い放つ。居合わせた澄観(ちょうかん)が攻撃を防いでくれたおかげで大事にはならなかったものの、当分は […]
神龍教教主・洪安通(こう・あんつう)自身と同様の存在である五龍令――韋小宝(い・しょうほう)がそれを持っていたことで、彼と皇太后の立場は、すっかり逆転してしまった。皇太后は恐る恐る質問をしながら事の次第を探ろうとし、"四十二章経"が盗まれたことをさりげなく他人 […]
洪(こう)教主夫人・蘇筌(そ・せん)に促され、碑文の拓本を広げるデブ行者。読めると言った以上、後には引けない韋小宝(い・しょうほう)は、ままよとばかりにデタラメを並べ立てた。"四十二章経"の在り処に、教主夫妻へのおべっかも忘れない。遥か昔の唐代貞観年間に書かれ […]
少林寺の達人たちの助けを借りて、韋小宝(い・しょうほう)はなんとかデブ行者から"四十二章経"を取り返すことができた。都に戻った彼は参内する前に立ち寄った客桟に、経典を隠すのだった。これでひと安心、双児(そうじ)と一緒に飯でも食おうと馬車で出かける小宝だったが、 […]
清涼寺に押し寄せたバヤンら西域の僧たちは、中をあらためさせろと詰め寄った。彼らの仲間の1人がさらわれ、清涼寺に閉じ込められているのだという。押し問答の末に、澄光(ちょうこう)方丈は相手の言い分を飲むことに。境内へとなだれ込んだ西域の僧は、澄光たちが止めるのも聞かずに、ある僧院へと […]
韋小宝(い・しょうほう)一行は、噂の幽霊屋敷で雨宿りすることに。しばらくすると、やはり雨宿りのために立ち寄ったらしい侠客たちが現れた。彼らは桂(けい)という名の太監を捜しているらしい。それが小宝――小桂子(しょうけいし)だと悟り、あてつけに悪口を言い始める劉一舟(りゅう・いっしゅ […]
"韋小宝(い・しょうほう)を五台山に遣わす"――皇帝からの勅命が下った。御前侍衛副総監という地位を得たことはさておき、これで大手を振って皇宮を出ることができるとほくそ笑む小宝。沐剣屏(もく・けんぺい)と方怡(ほう・い)を連れて皇宮を後にした彼が向かったのは、天 […]
得意のだまし討ちで柳燕(りゅう・えん)は始末したものの、小桂子(しょうけいし)――韋小宝(い・しょうほう)に皇太后の魔手が伸びるのは時間の問題だった。太監姿の方怡(ほう・い)と沐剣屏(もく・けんぺい)を連れて、皇宮からの逃走を計る小宝。ずらかる前に妖怪ババアを驚かせてやれと思いつ […]
小桂子(しょうけいし)の話を聞いてもなお、楊溢之(よう・いつし)は呉応熊(ご・おうゆう)誘拐の黒幕は皇帝だと考えていた。事件をでっちあげて自ら解決し、平西王府をひれ伏させようという筋書きなのではないか。そうであれば、必ずや若君は皇宮の何処かに捕らわれているはず――。そう読んだ溢之 […]
清朝を滅ぼした後、誰が皇帝の座に就くのが相応しいのか。天地会と沐王府は信念を異にしていた。対立を避けたい陳近南(ちん・きんなん)は、平西王・呉三桂(ご・さんけい)を討った者の意見に従ってはどうかと提案、沐剣声(もく・けんせい)もこれを承知し、緊迫の会談は幕を閉じたのだった。天地会 […]
獄に繋がれた3人の刺客は、カマをかける韋小宝(い・しょうほう)の言葉に動揺を隠せなかった。中でも一番歳の若い男は、小宝が方怡(ほう・い)を女房と呼ぶ度に顔色を変えて身をよじり、怒気を放っている。彼こそが方怡と言い交した相手・劉一舟(りゅう・いっしゅう)だった。やがて尚膳監に戻った […]
康熙(こうき)帝に促された通り、小桂子(しょうけいし)――韋小宝(い・しょうほう)は靖安行館に呉応熊(ご・おうゆう)を訪ねると、刺客の持ち物だと言って平西王府の名の入った刀や下着を見せた。顔色を失い、「仇敵による奸計に違いない」「陛下に弁明を」と訴える応熊。小宝は、刺客が雲南沐王 […]
「小桂子(しょうけいし)は口がうまい。罠にはまるな。必ず殺せ」――そう言って瑞棟(ずい・とう)を送り出した皇太后。その後で、彼が"四十二章経"を持ったままであることに思い至り、一抹の不安を抱くのだった。その足で尚膳監に向かった瑞棟は、宮中にやすやすと刺客が侵入 […]
神照(しんしょう)上人の隠した"四十二章経"をくすねて、にんまりする韋小宝(い・しょうほう)。続いて彼の前にやってきたのは、宮女らしい娘を抱えていずこかへと急ぐ巴朗星(は・ろうせい)だった。娘の顔を一目見たいと近寄る小宝だったが、朗星は騒ぎが大きくなっては厄介 […]
銭老本(せん・ろうほん)が運んできたのはミカンだけではなかった。行李の蓋を開けてみると、猿ぐつわを噛まされた沐剣屏(もく・けんぺい)が、たくさんのミカンに埋もれて身を縮めている。天地会は徐天川(じょ・てんせん)奪還のため、人質に取った彼女を沐王府との交渉の材料にしようという魂胆な […]
「ご恩は来世でお返しします」と言い捨てて、天地会のアジトからおいとましようと企てた韋小宝(い・しょうほう)だったが、銭老本(せん・ろうほん)に肩を掴まれ、くるり――あえなく陳近南(ちん・きんなん)の前へ逆戻りする羽目に。そして、師匠に迫られ、青木堂の面々に推され、小宝はとうとう天 […]
オーバイが猛り狂っているという知らせを聞いた韋小宝(い・しょうほう)は、気がかりな様子の康(こう)親王やトルンをその場に押し留め、1人で氷室へと向かった。オーバイは、食事に毒が盛られていたのは皇帝の密命によるものだと考え、しきりに悪口雑言を浴びせてくる。一方の小宝は、オーバイが鎖 […]