地下牢に閉じ込められた蕭峯(しょう・ほう)、その救出が始まった。少林派が、丐幇が、蕭峯にひとかたならぬ恩義を感じる江湖の侠客たちが一堂に会している。深夜、各門派が陽動作戦を取って遼の兵の注意をそらし、その隙に地下道を使って蕭峯を脱出させようというのだ。計画は図に当たり、蕭峯は無事 […]
人知れず遼を離れる決心をした蕭峯(しょう・ほう)。兵の囲みは突破したものの、走るうちにどんどん内力が失われてゆく。穆(ぼく)貴妃の策略とは知らず、阿紫が蕭峯に毒を盛ってしまったせいだ。このままでは2人とも捕まってしまうと悟った蕭峯は、「虚竹(こちく)と段誉(だん・よ)に知らせろ」 […]
玉虚観に駆けつけた王語嫣(おう・ごえん)は、出家して道士になろうとしている木婉清(ぼく・えんせい)は、懸命に説得を試みた。段誉(だん・よ)と自分の中を疑う彼女の誤解を解こうと言葉を尽くし、正気を失った慕容復(ぼよう・ふく)を支えるつもりだと決意を明かすと、王語嫣は玉虚観を後にする […]
雲中鶴(うんちゅうかく)が見たものは、一心不乱に己の父の墓を掘り返す慕容復(ぼよう・ふく)の姿だった。正気を失ったらしい彼の背後から襲い掛かる雲中鶴だったが、思わぬ反撃に遭い、断崖へと追い詰められてしまう。見逃す代わりに、ひれ伏して「皇帝陛下」と言え――そう迫る慕容復の隙を見て、 […]
「4人の女たちを殺せ」。叔母である李青蘿(り・せいら)に命じられ、立ち上がった慕容復(ぼよう・ふく)は剣を抜いた。段延慶(だん・えんけい)に皇位を譲れと、段正淳(だん・せいじゅん)を脅しにかかる慕容復。段正淳は李青蘿の情にすがろうとするが、それも慕容復に阻まれてしまう。非道な輩に […]
捕らえられた段誉(だん・よ)たちは曼陀山荘にいた。ひとり意識を取り戻した段誉の耳に、隣室で語り合う男女の声が聞こえてくる――慕容復(ぼよう・ふく)と李青蘿(り・せいら)だ。皇位を奪い取るために段家との交渉材料がほしい段延慶(だん・えんけい)に段誉を引き渡し、代わりに段正淳(だん・ […]
"夢郎"と"夢姑"は遂に出会い、晴れてむすばれることに。銀川(ぎんせん)公主の婿に選ばれた――そんな慕容復(ぼよう・ふく)の思いは、ぬか喜びに終わった。虚竹(こちく)が選ばれたと聞かされても納得できない彼は、剣を振り回して悲憤の叫びを上げる […]
西夏の婿選びが始まった。段誉(だん・よ)の到着を知らせる声にうろたえた慕容復(ぼよう・ふく)だったが、その人物の顔を見て落ち着きを取り戻す。行方不明の段誉(だん・よ)に代わって皇宮に姿を現したのは、男装した木婉清(ぼく・えんせい)だった。彼女の武芸の腕前は知れたもので、宗賛(そう […]
段誉(だん・よ)を涸れ井戸の中へと突き落とした慕容復(ぼよう・ふく)。偶然それを目撃した王語嫣(おう・ごえん)は、段誉を助けてやってほしいと懇願する。しかし、その慌てふためいた様子を見た慕容復は、彼女が本当に愛しているのは段誉なのではないかという疑いを強めてしまう。彼は過去のこと […]
段誉(だん・よ)一行と落ち合った朱丹臣(しゅ・たんしん)は、段正淳(だん・せいじゅん)からの手紙を携えていた。その内容は、西夏へ行って銀川(ぎんせん)公主の婿選びに参加せよというもの。自分は公主の婿に選ばれるような器ではないと渋る段誉だったが、慕容復(ぼよう・ふく)に裏切られた王 […]
父との対面を望み、禅房の前でひざまずいたまま待ち続ける慕容復(ぼよう・ふく)。どれほどの時が流れたか、遂に扉は静かに開いた。喜色も露わに駆け寄る慕容復だったが、出家した慕容博(ぼよう・はく)には笑みはおろか、言葉さえも無い。やがて、慕容博は残酷な真実を語り出す。燕復興に費やしてき […]
謎めいた老僧の導きにより、蕭遠山(しょう・えんざん)と慕容博(ぼよう・はく)は、これまで抱いてきた恨みと執着を捨て去ることができた。そして、慈悲の心とこの世の無常を悟った2人は、老僧に弟子入りして出家することを決意するのだった。僧の名は空然(くうぜん)――少林寺の歴史上、最も多く […]
今明かされる、慕容(ぼよう)家の出自と悲願。30年前の雁門関での事件をはじめとする数々の悲劇は、乱世で漁夫の利を得て大燕国を復興させようと目論んだ慕容博(ぼよう・はく)が仕組んだことだったのだ。慕容博は続けて、遼の南院大王である蕭峯(しょう・ほう)に宋へ進攻せよと迫る。それに呼応 […]
蕭峯(しょう・ほう)は、叶わぬ夢だと諦めていた父との対面を果たした。しかし、その胸中には複雑な思いもある。蕭峯は既に"頭(かしら)"への恨みを捨てていたが、蕭遠山(しょう・えんざん)は妻の命を奪った中原武林への復讐を、今も誓っていた。そればかりか養父母や、玄苦 […]
蕭峯(しょう・ほう)と段誉(だん・よ)は、待ち受ける群雄の只中に歩み出た。少林派や義弟・段誉、そして遼の兵たちには手出しをするなと釘を刺した蕭峯は、慕容復(ぼよう・ふく)、丁春秋(てい・しゅんじゅう)、荘聚賢(そう・しゅうけん)の3人に同時にかかってこいと言い放つのだった。
玄慈(げんじ)方丈の取り成しによって、慕容復(ぼよう・ふく)と丁春秋(てい・しゅんじゅう)の手合わせは、雌雄を決することなく終わりを迎えた。少林派を挑発する丁春秋の言葉に色めき立つ群雄。そこに、丐幇の一団がなだれ込んできた。荘聚賢(そう・しゅうけん)に支えられて先頭に立っているの […]
少林寺に吐蕃の国師・鳩摩智(くまち)が乗り込んできた。英雄大会への参加が目的だと前置きしながら、彼は少林派七十二絶技を披露すると言い放つ。色めき立つ少林寺の僧たち。七十二もの門外不出の絶技を編み出した達磨(だるま)大師以外には、全ての技を操る者はいないのだ。しかし、大金剛拳を得意 […]
荘聚賢(そう・しゅうけん)を新幇主の座に据えようと暗躍する全冠清(ぜん・かんせい)。そんな彼の前に、ある夜、黒ずくめの男が現れた。全冠清は打狗棒法を操る男の姿を目にし、丐幇の先輩ではないかと思い至る。更に、男が自分の計画を全て見透かしていたことで、その思いは畏怖の念へと変わってい […]
虚竹(こちく)たちが縹緲峰に辿り着いてみると、そこには死屍累々の惨状が広がっていた。三十六洞七十二島を率いた慕容復(ぼ・ようふく)の仕業である。一行は霊鷲宮の中でも同じような殺戮が行われているのではないかと思うと気が気ではないが、慕容復が援軍を阻む目的で橋の代わりとなっていた鎖を […]
氷室の外から響いてくる李秋水(り・しゅうすい)の声――慌てふためく虚竹(こちく)をよそに、天山童姥(てんざんどうぼ)は功力の回復に専念している。だが、妹弟子の狙いが自分の心を惑わすことだと分かってはいても、うろたえる虚竹と挑発する李秋水の声は、次第に天山童姥を苛立たせていった。