大晦日、大理寺で昔を思い返す岳飛に、万俟セツが死刑を宣告する。家族に別れを告げ、最後まで誇り高く、何者にも屈せず岳飛は刑に処される。兀朮は彼の位牌に跪き、韋夫人は敬虔に般若心経を書き写す。そして民衆は悲痛な思いで最後の英雄の死を悔やむのだった。
小満が用意した毒酒に手を伸ばす秦檜。しかし、彼女の企みは既に察知されており、待機していた素素と忠義社共々一網打尽にされる。秦檜は岳飛を裁く命令を発布するよう高宗に上奏する。だが、民衆から責め続けられることを怖れた高宗は、空白の命令書を秦檜に託す。
大理寺へ連行され、牢に押し込められた岳飛は、張憲、岳雲と偽造文書を証拠に反逆罪で法廷に立たされる。しかし岳飛は英雄然とした態度で罪状を論破し、尋問官を圧倒。尋問が困難を極めることを危惧した秦檜は、廬山に兵を派遣し、岳飛の家族を捕らえようとする・・・。
岳飛が張憲に届けた文書が謀反を匂わせるとして、秦檜は張憲と岳雲を投獄する。一方で秦檜は王貴を脅し、岳飛に謀反の意思があったと証言させる。小満、張用、そして素素が岳飛を助ける策を巡らす最中、岳飛は岳雲たちの冤罪を晴らすべく、危険を承知で臨安に戻る。
金は和解条件に宋が金の臣下となることと、岳飛の殺害を要求する。秦檜に条件を呑むよう諭された高宗は、あまりの愚行に決断できずにいた。秦檜は張憲の自宅から岳飛の命令を記した文書を盗ませ、岳飛に罪を着せる策を講じ、張憲と岳雲を自分の官舎へ誘い出す。
ついに十二通目の金牌が岳飛に届けられた。勅命に背けば岳家軍は後方の張俊・韓世忠軍とも戦わねばならない。意気消沈した岳飛は涙をのんで命令に従う。別れの日、朱仙鎮の民は岳家軍に留まるよう懇願するが、岳飛をはじめ、全武将が跪いて民に深々と謝罪する。
撤退しない岳飛に苛立つ高宗は十二通の金牌で勅令を下す。金牌の内容は一通毎に厳しさを増し、最後の十二通目には、命令に背けば内乱罪で処罰すると記されていた。梁興と素素は、伝令官の秦キから金牌を奪おうとするも討ち負かされ、重傷を負った粱興が命を落とす。
岳飛が朱仙鎮の城内へ射させた手紙付きの矢に対し、金軍は数万の矢を射返す。それは敵に矢を贈ったも同然だった。翌日、岳家軍は統率の乱れた金軍から朱仙鎮を取り戻す。兀朮は秦檜が機能していないことに怒り狂う。だが勝利に沸く岳飛の下に高宗の帰還命令が届く。
穎昌で大勝利を収めた岳家軍はベン京の程近く、朱仙鎮まで進軍した。新たな戦を前に演説する岳飛の言葉に、全ての兵が高揚する。岳飛勝利の報せに城内は沸き、領民は岳飛を生き神として祀り立てる。その状況に鬱々とする高宗に、秦檜は岳飛軍を呼び戻すよう勧める。
忠義社の協力で三ヶ月分の食糧を確保した岳飛は、このことを兀朮が知れば穎昌を攻めると分析し、背嵬軍を率いる岳雲、張憲と牛皐に指示を出し決戦に臨む。同じ頃、秦檜が料理人と侍女を募っていることを知った劉半仙と小満はそれぞれ志願し、秦檜の屋敷に潜り込む。
韓常の裏切りが杜充に漏れ、迎えに赴いた楊再興が金軍の伏兵に無数の矢を浴びせられ絶命する。一方、宇文キョウ中と杜充は決闘の末、相打ちで命果てる。岳雲が八百人の精鋭・背嵬軍と来たる決戦に備える最中、秦檜が兵糧を粗末な物に換えていたことが発覚する。
岳家軍に葫蘆山を包囲された兀朮の軍は、大量の死傷者を出し惨敗する。この時、兀朮は自らをおとりにした岳飛に完全に謀られたことを悟る。敗戦連きで立場を失った韓常は、同じ宋人の宇文キョウ中に諭され、金の陣営に潜入した素素を介し宋への亡命を決意する。
廬山を出立し、途中、諸葛孔明を祀った武侯祠で出師の表を書き写す岳飛。彼は二ヶ月以内に金軍を追い払う策を講じ、「敵を討たずして長江を跨ぐ事なし」と誓う。王貴を守るため、エン城に500の兵を残し留まる岳飛を、兀朮は大軍を率いて一網打尽にしようとする。
高宗に岳飛の召喚を命じられた秦檜は、医術に秀でた僧・信空を頼るが、その正体は死んだはずの劉コウ将軍だった。信 空は岳飛に「宋の臣下なら国を救わずして如何にする?」と説く。治療で回復した岳飛の目に、幻の鳥・大鵬が雲を突き抜けていく光景が広がる―。
権力を掌握した秦檜は、政敵や志ある者を次々抹殺する。一方、愛馬を老衰で失い目の病を悪化させた岳飛は、廬山に籠り世間と距離を置く。だが和解政策が崩れ、兀朮の軍が再び南下。朝廷は大混乱に陥り、韓世忠は対抗するには岳飛を呼び戻すしかないと主張する。
秦檜の愛猫が行方不明になり、揚州の知事・万俟セツは猫の口に高価な蛍石を含ませ献上する。趙鼎と家族が秦檜の手下に惨殺され、たった一人救われた愛娘・小満は、家族を失い涙する。韓世忠は岳飛の家を訪れ、世は儚く、運命は数奇だと酒を酌み交わし、憂さを晴らす。
和解に反対し秦檜に詰め寄られた趙鼎は退官し暗然と立ち去る。岳飛は秦檜の本性を手紙にしたためるが高宗は陣営に戻るよう命令するばかり。高宗に代わり金の使者に跪く秦檜の姿を見て、嘆き悲しむ群衆の中から、素素と張用が率いる黒衣の集団が秦檜に襲いかかる。
「故郷の夢を見た」という母に請われ岳飛は影絵芝居を見に行く。そして影絵を観ながら眠るように逝く母に、岳飛は涙を流して別れを告げる。一方、荒れ果てた秦檜の屋敷に赴いた高宗は、自分が跪かずに和解を成立させる秘策を提案した秦檜を再評価し、改めて登用する。
軍事統帥権を巡る高宗の決定に憤慨したレキケイは、五万の兵と十万の民を連れ金に逃亡する。金の熙宗は和解交渉で時間を稼ぎ、宋との全面対決に備える兀朮の提案を支持。やがて金から高宗が金の使者に跪き服従する侮辱的な和解条件が提示され、高宗は困惑する。