北伐の前に岳飛は、中原を三年以内に取り戻すと自信をもって語る。それを聞いた高宗は岳飛への警戒を強めてしまう。河辺の酒楼を訪れた岳飛は金との戦いを振り返り、壁に自作の詩「満江紅」を書き綴る。そこへ現われた張俊から、岳飛は高宗の思わぬ命令を伝えられる。
内通の発覚を怖れ、粘没喝の妻を殺害した秦檜。だが岳雲に目撃され悪行が露呈。高宗は秦檜の官位を剥奪する。その直後、五国城で徽宗が崩御したとの報告を受け、高宗は父を思い激しく憤り、ついに北伐を決意、五万の兵を岳飛の配下に置くことを宣言する。
兀朮と粘没喝の間でついに戦が起こり、追い詰められた粘没喝が自害する。宋では抗戦派の文官・趙鼎が岳飛が勝ち続けている今こそ北伐をと主張し、和解を推し進める秦檜を怒り狂わせる。そんな折、金から秦檜を頼って粘没喝の妻が斡離不の密書を携え亡命して来る。
秦檜から岳家軍撤退の報せを受けて、兀朮は六郡に攻め込む。だが岳飛の策で伏兵に遭い、兀朮の軍は大敗を喫してしまう。金の漢化を推し進めたい熙宗は兀朮と粘没喝が対立し国が乱れることを不安視。兀朮の妻であるレイ児も、兄・粘没喝との一触即発な状況を憂慮していた。
岳飛は襄陽六郡を跋扈する山賊・劉豫と戦い、二ヶ月を賭して六郡をほぼ奪回する。金では議論の末、熙宗が兀朮に劉豫救援を命じるが、粘没喝は反対し席を立つ。失地回復を宋の民は大いに喜ぶが、現状に満足していた高宗は金がさらに宋を脅かすことを危惧する。
兀朮の罠にかかった梁紅玉が非業の死を遂げる。韓世忠は妻の死を深く悲しみ、彼女を竹で編んだ筏にのせ火葬する。金では太宗が崩御し、遺言で若い熙宗が即位する。粘没喝は熙宗に従わず義弟の兀朮を取り込もうとするが、兀朮は熙宗を支えるよう先帝に託されていた。
牛皐と桂娘と結婚式を挙げ、岳飛や義兄弟が祝福する。時を同じく韓世忠は朝廷の要請で梁紅玉を残して出陣する。金では太宗の臨終が迫っていた。後継の地位を狙う粘没喝と接した太宗は、粘没喝が野心を膨らませた原因は自分の育て方にあったと悔やむのだった。
岳飛の息子・岳雲が成長し戦列に加わった。岳家軍が捕らえた賊に高宗は厳罰を下す。楊再興は彼らが困窮から賊になった不遇を察し、寛大な処罰を岳飛に願い出る。その頃、素素は旅の途中、廬山で店を営む張用と烏詩瑪に再会。彼女はこの地に留まることに。
秦檜の偽情報に騙された高宗は岳飛を帰還させる。その隙に秦檜の手引きで兀朮の船は密かに黄天蕩から脱出。途中、金軍と出くわした傅慶が惨殺され、戦いは幕切れとなった。臨安で高宗の酒宴に招かれた岳飛は、平穏を祝うかの雰囲気に心の底で嘆くのだった。
金を訪れた秦檜は、権力を得るため韋夫人の救出を画策。斡離不は関知しないと約束するが、守衛に逃走が発覚。徽宗を人質にされ韋夫人は逃走を断念する。斡離不は秦檜に金品を渡し、韓世忠の船団に黄天蕩へ追い込まれた兀朮を助け出すため便宜を図らせる。
勢いが止まらない金軍に対し、韓世忠と岳飛は海と陸双方から追い詰める作戦を敷く。岳家軍が建康を奪還し、黄天蕩へ流れ着いた兀朮の船団は韓世忠に攻撃され、陸では岳飛が待ち構え、逃げ場を塞がれる。さらに兀朮と、船に同乗していた妻・レイ児を不幸が襲う。
岳飛に告白するも砕け散った素素は手紙を残して旅に出る。一方、素素の尽力で夫人の目が回復した高寵は晴れて岳家軍に加わった。そ の祝宴の最中、兀朮の軍が攻め込んでくる。無数の鐵滑車に槍一本で挑み続けた高寵は、車輪の下敷きになり壮絶な死を遂げる。
岳家軍のために武器を運んでいた張大年が杜充に捕まってしまう。岳飛は留守を王貴に託し、素素と救出へ向かう。そこへ塩商人に変装した哈迷蚩が偽りの情報を広めて王貴を出兵させる。この隙に王ショウが岳飛の家族を殺そうと謀反を起こすが、高寵が再び孝娥たちを救う。
岳飛は素素に、高寵の妻・楊夫人の目の病を治せないか相談し、岳飛自身も素素に鍼灸治療を施してもらう。牛皐は酒楼の看板娘・桂娘と酔い潰れ、彼女の部屋で目を覚まし慌てふためく。同じ頃、素素が張大年と言い争うが、岳飛の母の尽力で父娘は蟠りを捨てるのだった。
牛皐たちが運んでいた食糧が、仮面の武将・高寵に奪われた。高寵が食糧を被災者を配給していると知った岳飛は彼を岳家軍に誘うが、高寵は意志を明確にしない。ある日、高寵は金軍と戦った折、山賊に追われ放浪していた孝娥と安娘を助け、岳飛と引き合わせる。
朝廷からの兵糧が途絶え、眠る場所にも事欠く岳家軍。素素は故郷の宜興に戻り、父・張大年を説得し岳家軍が太湖に駐屯できるよう手配する。英雄・岳飛の来訪を宜興の民は歓迎し、岳家軍の噂を聞いたこの地の山賊・海賊は尻尾を巻いて逃げ去るのだった。
杜充の計略により兀朮の軍は建康を制圧。高宗は船に乗って海へ逃げ出す。兀朮は宋を裏切った杜充を侮辱し、弁髪にして従属させる。混乱が続き食糧を断たれ、岳家軍の兵は空腹に苦しむ。しかし岳飛は決して民の食物を奪ってはならないと兵に厳命するのだった。
河岸の領民の被害は甚大で民も兵も疲弊し、金軍の南下は勢いを増すばかり。状況を案じる高宗に秦檜は緩兵の計で南下を引き延ばすことを提案する。同じ頃、金と内通する杜充は岳飛を韓世忠の陣営に向かわせ、建康の守備を手薄にする調虎離山の計を仕掛ける。
梁紅玉の活躍で岳飛たちは苗傅と劉正彦が捕らえ高宗を救う。建康に留まった岳飛は、長江北岸の守備が手薄で、もし兀朮が奇襲してきたら防げないと意見する。しかし杜充と王ショウはこの意見に一切取り合わない。案の定、金では韓常がこの地域へ攻め込もうとしていた。
苗傅と劉正彦が謀反を起こし、高宗を軟禁する。面会を許された秦檜は、武官に重きを置かぬよう高宗を諌め、韓世忠が助けに来ると伝える。やがて韓世忠が祝いと称して苗傅と劉正彦を訪問。梁紅玉が余興の太鼓の音で城外の岳飛たちに合図し、宮中に踏み込ませる。