兀朮の大軍が迫り、杜充は高宗の護衛を口実に建康へ逃げ込もうとする。こうしてベン京は兀朮にあっさり制圧され、長江が金と宋の境界となる。金軍がさらに南下し、建康を攻める準備をし出した頃、兀朮は兵に殴られながらも宝物を大切に愛でる宋の人物・宇文虚中を助ける。
黄河流域で金軍と激突した岳家軍は、部隊別に次々攻めては退く戦術で鐵浮屠を回避しつつ金軍の士気を削ぐ。だが杜充は戦況を見ずに堤防の破壊を指示。黄河から溢れた大量の水は金軍に多大な損失を与えたが、同時に数十万人の両岸の民を溺死させてしまう。
黄河決壊を止めようとする岳飛に、杜充は金軍と鐵浮屠を撃退できれば中止すると持ちかける。張用は王ショウと通じ、堤防破壊に用いる大砲を調達。利益を得た張用に駆けつけた岳飛は怒りをぶつける。だが張用は部下に大砲を下ろすよう指示し、水没の危機を回避する。
宗沢の葬儀に哈迷蚩が訪れ、秦檜を暗に脅迫する。秦檜は高宗に和平交渉を薦めるが、趙鼎は反対する。高宗は決断できず、さらなる遷都を準備させるだけだった。宋沢の後任となった杜充は民衆の巻き添えを厭わず、黄河を決壊させ金軍を水没させる策を提案する。
捕えられた岳飛の家族を救出に向かった楊再興は、曹成を死闘の末に倒すものの孝娥と安娘がはぐれてしまう。同じ頃、エン城を金軍に急襲された宗沢は重傷を負う。駆けつけた岳家軍がセン州を死守し、城は守り抜かれたが、宗沢は岳飛に「黄河を渡れ」と遺言を残し絶命する。
賭博好きな姚袞が皇帝陵の金品を盗み楊再興に捕えられた。岳飛は私情を捨て処罰を下すが、姚袞に騙され逃してしまう。逃走中、今度は曹成に捕えられた姚袞は、岳飛と皇帝陵の情報を漏らし、それを知った哈迷蚩と兀朮は、曹成をおとりに岳家軍へ陽動戦術を仕掛ける。
敗戦を機に、兀朮に地位を取って代わられ苦悩する粘没喝。皇帝陵を守る任に就いた岳飛は、家族を身近に住まわせようと王貴と楊再興を迎えに出す。故郷では叔父の姚袞が賭博場で揉め事を起こし、岳飛の母は楊再興を見るなり岳翔の死を思い出し、同行を静かに拒む。
粘没喝軍が汜水関まで迫り、高宗は直ちに建康へ遷都する。岳家軍は十万の粘没喝軍と激突し、大砲を用いて善戦。金の陣営は混乱状態に陥り、牛皋が敗走中の粘没喝を生け捕りにする。だが、牛皋が捕らえたのは粘没喝を逃がすため身代わりになった拓跋だった。
王彦の命令に背き、僅かな兵と新郷に出陣した岳飛は、韓常率いる金軍を破り領民を助け出す。しかし民衆と共に岳家軍が帰還すると、陣営は曹成に攻め込まれ壊滅状態に。岳飛は王彦に跪き謝罪するが、王彦は岳飛を軍紀に従い斬首刑に処すよう命令を下す・・・。
金で陵辱された刑夫人が自害し、高宗は失意のどん底に。康履は王淵に命じ、街で見かけた刑夫人にそっくりな呉夫人を連行し宮廷に住まわせる。一方、韓世忠が守る地域に、金から脱走してきたという秦檜の乗った小舟が漂着、秦檜は高宗に会わせてほしいと懇願する。
戦列に復帰した岳飛は、王彦に従い連戦連勝を収める。しかし高宗は、金を怒らせ韋夫人を危険にさらすことを心配して張所に撤退を命じ る。方針を日和見で変える朝廷に張所は不満を抱くのだった。一方、斡離不は秦檜夫婦を宋に戻し、和平交渉を進めることに同意する。
秦檜の手紙を読んだ高宗は、母・韋夫人と妻・刑夫人を案じベン京奪還を諦める。揚州遷都に憤った李綱は、張所に岳飛の召還を助言し野に下る。事態を聞かされ再び決意を固めた岳飛に、母は「尽忠報国」の言葉を贈り、岳飛はこの四文字を背中に入れ墨で刻むのだった。
高宗に北伐を進言した嘆願書が越権行為とみなされ、罪に問われる岳飛。李綱たち重臣の意見を聞き高宗は、岳飛の官位を剥奪。岳飛は仲間たちに別れを告げ帰郷する。一方、金に捕われた秦檜は宋に領地割譲を要求する太宗に、自分が高宗を説得すると誓う。
五国城で斡離不に「国は和を以て治めよ」と説く秦檜。同感する斡離不に秦檜は太宗との謁見を請う。その頃、岳飛は罪を問われた梁在平を拘束するため、彼の義兄・韓世忠の陣を訪れる。岳飛は罪の軽減を進言すると約束し梁在平を引き取り、韓世忠を杯を交わす。
炊事兵を集め、兄の窮地に賭けつけた岳翔が楊再興に殺された。悲しみを胸に岳飛は曹成と再戦、河岸へ追い詰める。曹成は舟で対岸に逃げ、一人残った楊再興に岳飛と一騎打ちさせる。戦いの最中、岳飛は「お前は楊家の槍に顔向けできるのか?」と楊再興を糾弾する。
岳家軍に入隊志願が相次いだ。素素は入隊を拒む岳飛を尻目に試験に合格。岳翔は結果が出せず炊事兵に。しかし岳翔が作る料理は絶賛され、仲間に炊事将軍の称号を与えられる。そんな折、岳飛たちは王ショウの援軍を待つ間に、地の利で優位な曹成軍に包囲される。
宋の重臣たちは、金の襲撃を逃れた趙構を新皇帝に奉り、高宗が即位した。高宗は曹成が金と結託することを案じ、宗沢に曹成討伐を命じる。岳飛は同じ山賊の吉倩・吉勇に協力を取り付けようとした矢先、2人は杜充が口封じのため放った刺客に相次いで殺されてしまう。
宗沢と趙構が相州で戦局を論じ合う間に金軍がベン京を攻め、徽宗と欽宗をはじめとする皇族、秦檜を含む重臣たちが捕虜として北方の五国城へ連れ去られる。報せを受けた宗沢は岳飛に二帝を救出するよう命じ、刑夫人も捕われたことを知り趙構は妻の身を案じる。
金との交渉は再び行き詰まる。兀朮に軟禁された趙構たちは密かに幕営を脱出。一行が逃げ込んだ廃屋に金軍が攻め込むが、忠義社の援護で戦いながら後退。岳飛たちは馬で河を渡り追手をかわす。兀朮は憤慨しベン京包囲へ出立。止むを得ず趙構は宗沢と挙兵する。
金との和解交渉の使者に立候補した趙構。愛息の身を案じる韋夫人に請われ、宗沢は岳飛たちに趙構の護衛を託す。趙構の下へ出向いた岳飛は、彼と弓を射合い互いの能力を認め合う。そんな折、忠義社の梁興は岳飛と対面。民を思い行動する岳飛の援護を申し出る。